国立感染症研究所インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター第一室
全国地方衛生研究所 |
感染症発生動向調査により収集されている日本の輸入感染症例のデータを、渡航者のリスク評価のために、適時に還元することが目的です。ただし、適時の情報還元と共有を目的としているため、数値についてはシステムからデータを取り出した時点の情報であり更新される可能性があります。
渡航国別の輸入感染症報告数は、渡航先の感染症の流行の程度や、渡航者数等により影響を受けます。渡航者数の変動の影響を考慮する場合は、渡航国別の日本人渡航者数(日本政府観光局(JNTO). http://www.jnto.go.jp/jpn/reference/tourism_data/visitor_trends/index.html等の情報源を参照)を分母代替データとして、ご活用ください。
世界の感染症流行状況については、厚生労働省検疫所FORTH(http://www.forth.go.jp/)、外務省. 海外安全ホームページ(http://www.anzen.mofa.go.jp/)、WHOのウエブサイト(http://www.who.int/en/)等において取りまとめられていますので、そちらも合わせて参照してください。
本ウェブページにおいては、急性の発症経過で、例年一定数以上の報告があり、報告例の中で輸入例の割合が比較的高い、以下の15疾患につき取り上げました。尚、流行曲線は最大月別報告数が5例以上の場合のみ作成し、直近12か月における推定感染地として多い上位4か国とその他の国を積み上げました。
アメーバ赤痢 Amebiasis
E型肝炎 Hepatitis E
A型肝炎 Hepatitis A
クリプトスポリジウム症 Cryptosporidiosis
細菌性赤痢 Shigellosis
ジアルジア症 Giardiasis
ジカウイルス感染症 Zika virus infection
チクングニア熱 Chikungunya fever
腸チフス Typhoid fever
パラチフス Paratyphoid fever
風疹 Rubella
麻疹 Measles
マラリア Malaria
レプトスピラ症 Leptospirosis
尚、デング熱については、以下のページで定期的に輸入例の動向が更新されますのでご参照ください。
国立感染症研究所
2024年2月16日時点
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背景
検出状況について
科学的知見について
各国、各機関による評価
関連項目
参考文献
注意事項
迅速な情報共有を目的とした資料であり、内容や見解は情勢の変化によって変わる可能性がある。
2024年2月5日最終更新
国立感染症研究所 実地疫学研究センター
感染症疫学センター
2023年10月19日現在
(掲載日:2024年2月2日)
急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く)(以下、「急性脳炎」という)は、2003年11月から、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づく感染症発生動向調査において、5類感染症全数把握疾患に指定されている。
マイコプラズマ肺炎は一般にみられる肺炎で, 流行時には市中肺炎全体の20-30%を占めることもある。病原体の肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae: M. pneumoniae)は, 細菌としてはゲノムサイズが約800kbと小さく, 増殖にコレステロールなど多くの栄養素を要求するが, 人工の培地で純培養が可能である(本号3ページ)。ペプチドグリカン細胞壁を欠くため, β-ラクタム系の抗菌薬は効果がない。感染経路は主に飛沫感染と接触感染で, 家族内や学校など濃厚接触が多い場所で, しばしば集団発生が起こる。患者は小児, 青年期年齢層に多く, 潜伏期間は感染後2~3週間程度である。症状は発熱, 全身倦怠感, 頭痛, 咳などで, 解熱後も咳が長く続くことがある。M. pneumoniaeによる呼吸器感染症は肺炎に至らない気管支炎症例も多く, 肺炎の場合も比較的症状が軽いため, 英語では“walking pneumonia”という呼び名もある。これは肺炎を発症していても患者が起きて歩けるからである。一方で, 重症化して入院治療が必要な症例もある。また, M. pneumoniaeは呼吸器以外にも造血器系, 心血管系, 消化器系, 泌尿器系, 中枢神経系, 皮膚・粘膜などに炎症をはじめ, 様々な病変や合併症を起こすことがある。現時点で有効なワクチンはない。